ビットコインのクロスチェーン送金強化へ保証レイヤー発表
Symbiotic(シンビオティック)は2025年9月15日、チェーンリンク(Chainlink/LINK)およびビットコインDeFiプロトコルのLombard(ロンバード)と提携し、クロスチェーンでのビットコイン(BTC)転送を支える業界初の暗号経済に基づく保証レイヤーを発表しました。
Symbioticは、ブロックチェーンにおけるリステーキングや分散型保証メカニズムを提供する新興プロジェクトで、複数のネットワークを横断する金融アプリケーションのセキュリティを強化することを目的としています。
発表によると、この保証レイヤーは、Chainlinkのクロスチェーン相互運用プロトコル(CCIP)とSymbioticのユニバーサルステーキング基盤を組み合わせて実現されたもので、Lombardが提供するステーキング型ビットコイン資産「LBTC」のクロスチェーン転送に追加の経済的保証を提供します。
また、この保証レイヤーは異なるブロックチェーン間でのBTC移動に伴うリスクを軽減し、取引ごとに二重の保護層を設けることで、より安全なクロスチェーン資産転送を可能にすると説明しています。
この取り組みにより、LBTCを用いたビットコインのクロスチェーン送金は信頼性が向上し、仮想通貨(暗号資産)業界における新たなセキュリティ標準の確立につながると期待されています。
Shibariumとの直接ブリッジも可能に
クロスチェーンBTC転送を強化する保証レイヤー
LINK・BARDを活用した二重の保証メカニズム
発表によれば、今回の保証レイヤーの構築にあたり、SymbioticはLINKトークン用とBARDトークン用の2つの新たなステーキング用ボールト(Vault)を設立しました。
LINK用ボールトは上限1億ドル(約150億円)までのLINKを受け入れ、BARD用ボールトには上限2,000万枚のBARDトークンが設定されています。
これらのボールトを基盤として、SymbioticのネットワークはChainlink CCIP経由で行われるLBTC転送を自動監視し、異常を検知した際にはネットワーク内でコンセンサスを形成して警告を発出する仕組みを導入しています。
Chainlink CCIPとSymbiotic保証の統合モデル
Lombardは、Chainlink CCIPのモジュラー型セキュリティ設計を活用し、Symbioticの外部経済保証システムを統合することで、CCIP自体に変更を加えることなくLBTC転送に独自の保護レイヤーを重ねることに成功したと説明しています。
Lombardが発行するLBTC(Lombard Staked Bitcoin)は2024年にローンチされ、92日でTVL(ロック済資産総額)が10億ドル(約1,500億円)を突破しました。これにより、クロスチェーン対応の利回り付きビットコイン資産として急速に存在感を高めています。
保証レイヤー参加を可能にするBARDトークンの役割
LombardのコミュニティトークンであるBARDにも新たな実需が生まれています。
発表によると、ユーザーはLombardのアプリ上でBARDをステーキングすることで保証レイヤーに参加でき、初期リワードとして年利240%(段階的に30%まで低下)の報酬が提供されます。
ステーキングされたBARDトークンはLBTCのセキュリティ強化に直結し、ステーキング参加者(ステーカー)はその対価としてプロトコル内の活動に応じた報酬を得る仕組みです。
Lombard共同創業者が語る保証レイヤーの重要性
Lombard共同創業者のジェイコブ・フィリップス氏は「LBTCはチェーンに依存しない資産であり、ホルダーは最も有利な環境へBTCを自由に移動させたいと望みつつ、セキュリティ面でも一切の妥協を許さない」と述べています。
同氏はまた「Chainlink CCIPの柔軟なアーキテクチャとSymbioticのリステーキング担保を組み合わせることで、コミュニティにステーキングを通じてより強固な経済的保証を提供できる」とコメントしました。
今回の提携は、異なる分野のリーダー同士が協力して実現した初の経済的保証付きクロスチェーンブリッジの本番稼働例であり、他領域にも応用可能なモデルケースとして評価されています。
ICEデータ活用で金融革新を推進
Chainlink CCIP、金融とブロックチェーンをつなぐ架け橋に
2025年4月には、ブロックチェーンゲーム特化型ネットワークのRonin(ロニン)が独自ブリッジを廃止し、Chainlink CCIPへ全面移行しました。
これにより、ラップドビットコイン(WBTC)などの資産がイーサリアム(ETH)とRonin(ロニン)間で安全に橋渡しできるようになり、ブリッジのセキュリティが大幅に向上しています。
また9月には、非EVM系レイヤー1ブロックチェーンAptos(アプトス/APT)のメインネットにChainlink CCIPが初めて統合されました。
さらに2025年11月には、国際銀行間ネットワークのSWIFT(スイフト)がChainlink CCIPとの本番統合を開始し、世界で11,000を超える金融機関がブロックチェーン接続に対応する予定と伝えられています。
こうした展開により、ChainlinkのCCIPはクロスチェーン相互運用の基盤として存在感を高めており、ビットコインを含むさまざまな資産の安全なクロスチェーン転送を支える役割の重要性が一段と増しています。
※価格は執筆時点でのレート換算(1ドル=146.63 円)
クロスチェーン関連の注目記事はこちら
Source:Symbiotic公式ブログ / Lombard公式発表
サムネイル:Shutterstockのライセンス許諾により使用