フィリピン政府、ポリゴンブロックチェーン導入を発表|公共資金記録の透明性向上へ


フィリピン、行政透明化へブロックチェーン導入

2025年7月31日、フィリピン予算管理省(DBM)が、同国の主要予算文書をポリゴン(Polygon/POL)ブロックチェーン上で検証可能とする新たなシステムの運用を正式に開始したことが明らかになりました。

地元メディアの報道によると、このブロックチェーン基盤では、特別歳出命令(SARO)や現金割当通知(NCA)などの配分記録が改ざん困難な暗号学的ハッシュとして保存され、誰もがその真正性を検証できる仕組みが構築されています。

政府は、人工知能(AI)を悪用した文書偽造(いわゆるディープフェイク)への対抗策としてブロックチェーン技術の導入を進めており、公共資金の流れに対する信頼性向上を目指す姿勢を示しています。

このプロジェクトは、官民連携で技術開発を進めるBayaniChain(バヤニチェーン)との協業によって実現しており、7月30日に予算管理省中央オフィスで開かれた公式イベントにて稼働開始が発表されたと報じられています。

ブロックチェーン活用で公共資金を可視化

政府関係者が語るブロックチェーン導入の狙いと意義

DBM(フィリピン予算管理省)のマリア・フランチェスカ・デル・ロサリオ次官は発足イベントにて「ブロックチェーン技術がAIによるディープフェイク問題の抑制に寄与し、政府文書の偽造を防ぐ有効な手段である」と語りました。

また、開発を担ったBayaniChain(バヤニチェーン)のポール・ソリマンCEOは「本プロジェクトが政府機関による国家予算の公開追跡と管理を実現する初の試みであり、公共財政の透明性と説明責任において画期的な取り組みになる」と述べています。

なお、今回導入されたシステムは、2023年に発表された「Project Marissa(プロジェクト・マリッサ)」を基に開発されたことが明らかとなっています。

当初はサンドボックス環境での試験導入からスタートし、一定の成熟段階を経た後に本格的な運用へ移行しました。このプロジェクトは、フィリピンにおけるデジタル・ガバナンスの象徴的な取り組みと評価されています。

NFTとして記録される公的資金情報

技術面では、DBMの内部文書発行システムで生成された歳出文書が、BayaniChain社のブロックチェーン基盤「Lumen(ルーメン)」と連携する構成であることが伝えられています。

また、この過程でPrismoプロトコルが公開可能な情報を選別し、ポリゴンチェーン上に書き込まれます。機密情報は守られ、開示が必要なデータのみがNFT(非代替性トークン)としてオンチェーン上にミント(発行)されるとのことです。

なお、実際に公開されたデータは「blockchain.dbm.gov.ph」から閲覧可能で、文書に付されたQRコードや文書番号を通じて、内容の真正性を検証できる仕組みであることが報じられています。

検証システムとフィリピン政府の次なる構想

Polygon Labsは公式X(旧Twitter)で「フィリピン政府の予算がオンチェーンで公証された」と投稿し、誰もが検証可能な不変の記録が提供される点を強調しました。

フィリピン政府、予算文書のブロックチェーン記録を開始──ポリゴン上で公開・検証可能に

フィリピン予算管理省は、政府の主要予算文書をブロックチェーン上に記録する新たなシステムの運用を正式に開始しました。

このシステムは、ポリゴン(Polygon)ブロックチェーン上に文書を保存し、誰でも閲覧・検証できる形で改ざん不可能な記録を提供します。

DBMのロサリオ次官は「本イニシアチブは、安全かつ先進的なテクノロジーを統合する取り組みの一環である」と言及し、ブロックチェーンの導入を国家のデジタル戦略における中核と位置づけています。

今後は、予算執行書類に加え、調達契約や在庫管理、リアルタイム監査といった分野への応用も見込まれており「デフォルトで透明性を備えた政府インフラ」の構築が進められる見通しであることが報じられています。

国家レベルで採用が進むブロックチェーン技術

ベトナム、国家データ管理に分散型技術採用

ブロックチェーン技術を活用する取り組みは、フィリピンだけでなく近隣諸国でも広がりつつあります。

2025年7月25日、ベトナム政府は国家データ管理の新基盤として、ブロックチェーン技術を活用したプラットフォーム「NDAChain」の立ち上げを発表しました。

NDAChainは、国家データ協会の主導により開発された許可型ブロックチェーンで、行政、金融、医療など多岐にわたる分野の重要データを検証する中核インフラとして機能すると報じられています。

この国家基盤を通じて、ベトナム政府は行政データの改ざんリスクを抑制しつつ、透明性と信頼性の向上を図る方針です。

各国の政府が進める透明性確保の新戦略

フィリピンは今回の導入によって公共記録管理へのブロックチェーン応用を進める国のひとつとなりました。他国の政府機関も、透明性向上や業務の効率化を目的としたプロジェクトに本格的に取り組み始めています。

行政サービスのデジタル化が進展する中、分散型台帳が持つ改ざん耐性や高い検証性は「次世代の政府インフラ」を支える重要技術として注目を集めています。

今回のフィリピンの導入事例は、ブロックチェーンが公共分野でも有効に機能することを示す代表的なケースとされており、今後の各国における政策動向にも関心が寄せられています。

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Source:フィリピン地元メディア「BitPinas」
サムネイル:AIによる生成画像


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