仮想通貨Plasma(プラズマ/XPL)とは?特徴・ユースケース・将来性をわかりやすく解説


仮想通貨プラズマ(Plasma/XPL)は、ステーブルコイン決済の在り方を変えようとしている注目のブロックチェーンです。

テザー社(Tether)の支援を受けて開発が進められ、USDT(テザー)やビットコイン(BTC)を基盤に、手数料を実質ゼロに抑えた高速決済ネットワークの構築を目指しています。

2025年には約3億7,000万ドル(約550億円)の資金調達を達成し、メインネットを始動しました。さらに、Visa認証のプリペイドカードやネオバンク「Plasma One」を通じて、暗号資産を日常の支払いに活用できる環境づくりも進んでいます。

この記事では、プラズマ(Plasma/XPL)の特徴や購入方法、注目されている理由などを分かりやすく解説します

仮想通貨プラズマ(Plasma/XPL)とは

Plasmaの画像

Plasma(プラズマ)は、ステーブルコイン決済に特化した新しいレイヤー1(L1)のブロックチェーンプロジェクトです。

そのネイティブ仮想通貨(暗号資産)であるXPLトークンを基盤に、USDT(テザー)などのステーブルコインとビットコイン(BTC)の決済を高速かつ手数料無料で行える次世代の金融インフラ構築を目指しています。

米テザー社(USDT発行元)の強力な支援を受けて開発されており、ビットコインと連携する独立型ブロックチェーン「Bitcoinサイドチェーン」として、EVM(イーサリアム仮想マシン)互換のスマートコントラクト環境を備えている点が特徴です。

2025年7月には実施したパブリックトークンセールで当初目標の7倍超となる約3億7,300万ドル(約550億円)もの資金調達に成功し、プロジェクト評価額は約5億ドル(約742億円)と算出されました。

プラズマ(Plasma/XPL)の特徴・技術的なポイント

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Plasmaチェーンが他のブロックチェーンと差別化される特徴や技術的ポイントには、以下のようなものがあります。

USDT送金手数料が実質ゼロ

プラズマはアカウント抽象化(Account Abstraction)技術を活用したPaymaster機能により、ユーザーがUSDTを送金する際のガス代(手数料)をプロトコル側で肩代わりできる仕組みを備えています。これにより、ユーザーはウォレットにネイティブトークン「XPL」を保有していなくてもUSDTによる送金を手数料ゼロで利用可能です。

この手数料無料化は、ネットワーク内にロックされた巨額のステーブルコインをイールド運用し、得られた利息収入などを原資に実現する計画です。これにより、頻繁な小額決済でもコストを気にせず利用できる利便性が提供されます。

ビットコインのネイティブサポート(pBTC)

プラズマはビットコイン資産を直接活用できるブロックチェーンとして設計されています。他チェーンのように中央管理のラップドBTC(WBTC等)を用いるのではなく、バリデータネットワーク型のブリッジ機構を通じてビットコインを信頼最小化で預け入れ、pBTCと呼ばれるペグ資産を発行します。

さらにLayerZeroのOFT(完全同種トークン)標準を組み合わせることで、発行されたpBTCが他チェーン間でも流動性を分散させずに維持できるよう設計されています。

これにより、Plasma上でビットコインを担保にしたDeFi(分散型金融)やレンディング、他の資産とのスワップなどが安全かつ効率的に行えます。ネイティブにBTCを統合するL1は少なく、Plasmaはこの点で独自のポジションを築いています。

高スループット&EVM互換性

支払い決済のグローバル展開を見据え、プラズマは大容量・高頻度トランザクション処理に耐えるスケーラビリティを重視しています。

コンセンサスアルゴリズムPlasmaBFTは取引の高速ファイナリティ(即時確定)を実現し、ネットワーク性能を最適化しています。またイーサリアム仮想マシン(EVM)互換を完全サポートしており、Solidityなど既存のスマートコントラクト資産や開発ツール(HardhatやMetaMaskなど)をそのまま利用できます

開発者にとって親和性が高く、既存のDeFiやGameFiアプリケーションをPlasmaチェーン上に容易に展開できる点も強みです。また、EVM互換でありながらビットコイン由来の基盤を持つというユニークな構造により、ビットコインのセキュリティとイーサリアムの柔軟性を両立している点も注目されています。

ステーブルコイン特化の機能拡張

プラズマ(Plasma/XPL)はステーブルコインに特化したスマートコントラクト機能を標準提供しています。

代表例として、前述の手数料無料USDT転送を可能にするコントラクト、利用用途に応じてガス代支払い通貨を柔軟に指定できるカスタムガストークン機能、さらに取引相手以外には送金金額などが見えないコンフィデンシャルペイメント(匿名送金)機能などがあります。

これらにより、開発者は従来困難だったシームレスでコスト効率の高いユーザー体験を実現するアプリケーションを構築できます。例えばECサイトでのUSDT決済をユーザー手数料ゼロ・プライバシー配慮で行う、といったことも可能になります。

Plasma上では初日から10億ドル規模のステーブルコイン流動性が提供されるため、新規プロジェクトであっても深い流動性を前提にサービスを展開できる利点があります。

プラズマ(Plasma/XPL)が注目される背景・目的

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Plasmaプロジェクトが生まれた背景には、ステーブルコイン発行体が他チェーンに支払っている巨額の手数料問題があります。

現在、USDTなど主要ステーブルコインの送金はイーサリアムやTronなど他のパブリックチェーン上で行われ、そのネットワーク手数料として毎年数十億ドル規模のコストが発生しています。

テザー社はこうしたコストを自社エコシステム内に取り込むことで、単なる「ステーブルコイン発行者」から「グローバル決済インフラ企業」への飛躍を戦略目標に掲げています。

プラズマはまさにその戦略の中核を担うプロジェクトであり、自社チェーン上でUSDT決済を完結させることで手数料収入の回収とユーザー体験向上を両立しようとしています。言い換えれば、プラズマはUSDTとBTCという仮想通貨業界で最も重要な2大資産を基盤に据え、従来の銀行送金や他ブロックチェーンを介さずに価値移転ができる「究極の決済レイヤー」を目指しているのです。

XPLトークンの基本情報とプロジェクト概要

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プロジェクト名称 Plasma(プラズマ)
ネイティブトークン XPL
ティッカーシンボル XPL
基盤ブロックチェーン Bitcoinサイドチェーン + EVM互換
発行日 2025年7月
総供給量 10,000,000,000 XPL
公式サイト Plasma公式サイト / 公式ドキュメント

ティッカー・総供給量・ネットワーク概要

プラズマ(Plasma)が発行するネイティブトークンのティッカー(銘柄コード)は「XPL」です。総供給量は100億枚(10,000,000,000 XPL)と定められており、そのうち10%にあたる10億枚が先述のパブリックセールで販売されました。

残るトークンの大部分はプロジェクトチームや初期投資家、コミュニティ向け報酬として割り当てられており、一定のロックアップ(売却制限)期間後に順次市場へ放出されていく予定です(開発チーム・投資家保有分は最長3年間のロックアップが設定)。

Plasmaチェーン自体はビットコインのブロックチェーンと連携したサイドチェーンで、PlasmaBFTと呼ばれるコンセンサスアルゴリズム(プルーフオブステーク型のBFT合意)によってブロック生成・ネットワークの安全性を担保しています。

このPlasmaBFTのバリデーター(検証者)としてXPLトークンがステーキング(担保ロック)に利用され、チェーンのガバナンスやネットワーク手数料の支払いにもXPLが用いられます。

開発体制・出資者・ロードマップ

プラズマ(Plasma/XPL)は2023年に設立され、2025年前半までテストネット開発と資金調達を進めてきました。

出資にはBitfinexやFounders Fund、Framework Venturesなどが参加しており、資金面と技術面の両方で支援を受けています。Founders Fundが主導したプライベートラウンドでは、パブリックセールと同水準の評価額が示されました。

2025年9月にはメインネットβ版が稼働し、XPLトークンの発行と主要取引所での取扱いが開始されました。あわせて一般向け金融サービス「Plasma One」もローンチされ、テザー社との連携によりネイティブUSDTの発行やVisa承認プリペイドカードでの決済が可能になっています。

Signify Holdings社との提携により、Plasma上のUSDT残高を世界各地で利用できるほか、手数料無料送金や最大4%のキャッシュバック機能も導入されています。

こうした取り組みにより、Plasmaは暗号資産分野だけでなくフィンテック領域にも事業を拡大しています。

今後はメインネットの安定稼働、開発者やユーザー基盤の拡大、複数ステーブルコインへの対応、ネットワーク分散化などが重点課題です。既存の大規模チェーンに並ぶエコシステムを構築できるかが注目されています。

プラズマ(Plasma/XPL)の主なユースケース

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プラズマ(Plasma/XPL)が描くエコシステムでは、以下のような大規模ユースケースが想定・展開されています。

ネイティブBTC DeFiへの活用

Plasmaを通じて、機関投資家から個人までが保有するビットコインを直接DeFiプロトコルに投資・運用できるようになります。

信頼性の高いプラットフォーム上でBTCをレンディングしたり、ステーブルコインと交換して利回りを得たりすることで、世界最大の時価総額資産であるBTCに新たな収益機会を提供します。

これは従来オフチェーンに眠るBTC資産をオンチェーンの流動性に取り込む役割も果たし、ビットコインとDeFiの架け橋となることが期待されています。

国際送金・クロスボーダー決済

手数料無料で高速なUSDT送金が可能なPlasmaは、海外送金やグローバルな商取引決済に革新をもたらす可能性があります。特に従来の銀行送金では手数料や為替コストが高かった新興国への送金や、国境を越えた企業間決済において、安価で即時性の高い代替手段となり得ます。

オンチェーン上で完結するため24時間365日稼働し、中継銀行を経由しないためコストは極小化されます。年間2兆ドル規模とも言われる国際送金・海外就労者送金市場において、Plasmaはその市場への挑戦として位置付けられています。

オンチェーン給与支払い

従来の金融システムでは企業が従業員に給与を支払う際、国内外問わず様々な手続きとコストがかかります。プラズマ上でUSDTを活用すれば、企業が世界中の従業員に瞬時に給与を支給することも可能です。

特にリモートワークが普及し、多国籍に人材が分散する現代の企業にとって、為替手数料や送金遅延がない支払いが行えるメリットは大きく、オンチェーンペイロール(給与支払い)はPlasmaが注力する主要市場の一つです。

実際、米国では給与支給総額が年間数兆ドル規模に達し、その一部でも暗号資産で置き換えるニーズが生まれれば巨大な利用領域となります。

Plasma Oneネオバンクによる決済革命

前述のPlasma Oneは、従来のPayPalやVisaと直接競合しうる暗号資産ネオバンクとして位置付けられています。高金利のステーブルコイン預金口座や、利用額に応じたキャッシュバック(最大4%還元)といったユーザー誘因策により、暗号資産を日常の支払いに組み込みやすくするサービスです。

例えばPlasma OneのVisaカードを使えば、USDT残高からリアルタイムに決済が行われ、利用者は従来のクレジットカードと同様にポイント還元を受けられます。これにより、暗号資産が実世界で支払い手段として受け入れられる範囲を大きく広げ、「暗号資産で支払う方が得」と感じられる体験を提供します。

このようにPlasmaは既存金融とWeb3の架け橋となることで、暗号資産の実利用を押し上げる戦略をとっています。

仮想通貨プラズマ(XPL)の価格・チャート

現在(2025年10月時点)、XPLの価格は0.8ドル前後で推移しており、時価総額規模は十億ドルに達しています。

取引高も依然として高水準で、上場直後24時間で40億ドル超の出来高を記録したとのデータもあります。

仮想通貨プラズマ(XPL)の買い方・購入方法

プラズマ(XPL)の購入は、大きく分けて以下の3つの手順に沿って行います。

  • 国内取引所でBTCなどを購入
  • 海外取引所に送金し、USDTに交換
  • XPLを購入

仮想通貨プラズマ(XPL)を取扱う暗号資産取引所

プラズマ(XPL)は日本国内の暗号資産取引所には上場していないため、XPLを売買するためには海外の仮想通貨取引所などを利用する必要があります。

XPLが上場している仮想通貨取引所としては、以下のような取引所が挙げられます(2025年10月時点)。

【日本国内の暗号資産取引所】
・未上場

【海外の暗号資産取引所】
Binance(バイナンス)
Bybit(バイビット)
OKX
Bitget(ビットゲット)
Kucoin(クーコイン)
MEXC(エムイーエックスシー)
など

プラズマ(Plasma/XPL)の将来性・今後の展望

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プラズマ(Plasma/XPL)は、テザー社や有力VCの支援を受け、「USDT」と「BTC」という主要暗号資産を軸に構築されたプロジェクトです。

メインネット稼働時点で20億ドル規模の流動性を確保し、Binance Earnなどとの提携によるロックアップ商品も展開しています。さらにPlasma Oneの導入により、暗号資産を日常決済に活用する動きが進んでおり、実利用拡大の先導役として期待されています。

一方で、課題も明確です。ステーブルコイン決済分野ではイーサリアム(ETH)トロン(TRX)といった既存ネットワークが強固な基盤を持ち、ユーザーの移行には時間を要します。また、各国の金融規制との整合性も不可欠であり、高金利サービスやキャッシュバック制度は銀行業や証券業との境界に触れる可能性があります。こうした法的枠組みへの対応が今後の成長に影響を与える可能性があります。

プラズマは「暗号資産版Visaネットワーク」を目指す革新的プロジェクトとして注目されています。ユーザーが意識せずに低コストで価値を送れる環境が整えば、暗号資産の実用性を飛躍的に高める存在になるとみられます。

今後は技術アップデートや提携の進展を通じ、他チェーンや金融インフラとの競争の中でその真価が問われる段階に入っています。

プラズマ(Plasma/XPL)まとめ

Plasma(XPL)は、ステーブルコイン決済とビットコイン活用に特化した独自ブロックチェーンとして急速に注目を集めています。

ビットコインの堅牢な基盤とイーサリアム互換の柔軟性を併せ持ち、なおかつユーザー手数料ゼロという大胆な設計思想は、ブロックチェーン業界における新たなスタンダードになりうる革新性を秘めています。USDTを中心とした深い流動性と強力な支援企業陣に支えられ、Plasmaはグローバル決済インフラの有力候補として頭角を現しました。

一方、その急成長に伴う市場変動や競合他社との凌ぎ合い、規制対応などの課題も内包しており、プロジェクトの行方には引き続き注意が必要です。

今後のアップデートやエコシステム拡大によっては、ステーブルコイン利用やビットコイン運用の常識を塗り替える可能性を持つだけに、初心者から上級者まで継続的に注目する価値のある仮想通貨プロジェクトと言えるのかもしれません。

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